こんにちは、ホウボウです!
2019年11月16日土曜日。
この日は、山手線・京浜東北線に新しくできる新駅「高輪ゲートウェイ駅」の2020年春開業に向けて、田町駅~品川駅間の線路切替工事が行われました。
工事に伴い、真昼間から山手線・京浜東北線の一部区間が運休となりました。
いろんなニュースで既に報じられていますが、工事による山手線の運休は1987年にJR東日本が誕生してから初めての出来事だそうです。
この記事では、線路切替工事による周辺駅の様子やそもそもどのような工事だったのかを中心に解説していきます。
なぜ線路切替工事をするのか?
まずはなぜ、山手線や京浜東北線といった、東京の交通手段の要ともいえる路線を運休させてまで工事を行うのか見ていきましょう。
上の画像を使って、工事の概要を見てみます。
右側に「○番」という数字がずらっと並んでいるところが品川駅です。それよりも右側に進むと、大崎や南の横浜方面に向かいます。
一方左側は田町駅につながり、それよりも先へ向かうと北の東京駅や上野駅へと向かいます。
中央真ん中を見てみると、新駅である「高輪ゲートウェイ駅」がありますね。
その上には何やら線がいっぱい並んでいますが、ここは車両置いておく車両基地です。(東京総合車両センター田町センター)
東京から品川に向かって電車に乗っていると、「間もなく品川駅に到着します」というアナウンスが流れますが、意外にもそこから品川駅までは割と距離があり、「なんだなかなか着かないじゃないか」と思って窓の外を見てみると、だだっ広い土地に車両と線路が所狭しと並んでいる光景が見られます。
品川駅付近をよく電車で移動する人は何度か目にしたことがあるのではないでしょうか。
今でもまだ使用されている車両基地ですが、数年前まではもっと広大でした。
昔は上の航空写真のように、上から下まで線路がびっちりと並び、様々な車両が置かれた「田町車両センター」という車両基地がありました。
真ん中に白い建物があるのが見えますね。これが車両基地です。
しかし、「田町車両センター」は2013年3月にその役目を終えて、車両基地としての機能は上側半分だけとなって、下半分には広大な土地が生まれます。
その跡地が「高輪ゲートウェイ駅」およびその駅周辺開発によって変貌を遂げるわけですね。
ただ、上の2017年当時の航空写真をよく見てみると、赤く囲った跡地のすぐ下にも線路が走っているようです。これが2019年11月15日(金)まで運行されていた、旧山手線・旧京浜東北線の路線です。
ここで、もう一度工事の概要に戻りましょう。
先ほどの航空写真と比較すると分かる通り、新設中の「高輪ゲートウェイ駅」の下側は空き地が広がっていて、ここはもともと「田町車両センター」があった場所です。
そしてさらにその下に、オレンジ色の点線で「現山手線(外回り)」「現山手線(内回り)「現京浜東北線(大宮方面)」と3本の路線が走っています。
今回はこの3本を、空き地の上部(水色の路線)に移す工事の最終段階として、線路切替工事を行うものだったわけです。
品川駅の京浜東北線ホームも変わる
線路切替工事や新駅「高輪ゲートウェイ駅」の初お披露目とあって埋もれがちですが、実は品川駅の京浜東北線ホームも変更する工事を同時に行っています。
線路切替工事をしていた2019年11月16日は、終日、京浜東北線田町駅~品川駅が運休となりました。
そのため、品川駅では上の写真のように、田町駅方面のホームへ降りようとすると赤いロープと立て看板をもった方がいて入れないようになっています。
そして階段の上をよく見てみると、大きく書かれた「4」の文字に京浜東北線のカラーである水色が綺麗な掲示がされていますね。
一方、右側の3番線ホームの掲示は真っ黒になっています。
実はこの日、品川駅では、前日まで3番線を走っていた大宮方面の京浜東北線を、4番線に移すという工事もしていました。
今までは、上の図の上段のように、京浜東北線(大宮方面)は3番線に停車していたため、乗り換えの需要が大きいと思われる山手線外回り(渋谷・新宿方面)が停まる2番線へは、階段などを使った乗り換えが必要でした。
品川駅では、この乗り換えを同じホーム上で行えるように改良工事を進めています。今回の工事は図の中段にある通り、京浜東北線(大宮方面)を3番線から4番線に移すものでした。
これによって3番線が空き、そこをホームとして拡張してしまうことで、2番線の山手線外回り(渋谷・新宿方面)は新しい3番線となって、広々としたホームを利用できるうえに乗り換えもスムーズになります。こちらは2022年頃まで待つ必要があるようです。
線路切替工事に伴う運休区間について
さて、11月16日は東京の大動脈が一部区間で運休となったので、外国人を中心に混乱した人も多かったことでしょう。
どの区間が運休となっていたのか、見ていきましょう。
上図の表とは順番が前後しますが、先ほど述べた通り、まず京浜東北線は終日品川駅~田町駅区間で運休となりました。
したがって、大宮方面からやってきた京浜東北線は田町駅で折り返して再び大宮方面へ戻ります。通常はあり得ない「田町行き」京浜東北線の列車が次々と上野駅や東京駅を通ったので、鉄道マニアがこぞって写真を撮っていましたね。
一方、大船方面からやってきた電車は品川駅で折り返し運転です。
また、山手線は大崎駅~東京経由~上野駅で16時まで運休となりました。
山手線の3割~4割程度の区間が運休となるのはとても珍しいことです。
山手線は環状線なので、基本的に始発駅や終点駅という概念はなく、時計回りに走る「外回り」と反時計回りに走る「内回り」があります。
ただ、山手線の終電の場合は、最後に車庫へと向かう関係で終着駅が設定され「大崎行」の山手線が走ります。
よって「大崎行」の山手線は珍しくないのですが、今回は上野で折り返し運転となるため、「上野行」の山手線が走ることになりました。こちらは大変珍しく、私は鉄道マニアではありませんが、普段山手線を利用している分、なかなか見られない電車の行き先表示を見られて面白かったものです笑。
線路切替工事中の東京駅の様子
ここからは、線路切替工事を行っていた時間帯の主要駅での様子をご紹介しましょう。
東京駅は、山手線が運休している区間で、京浜東北線は通常通り走っています(ただし「田町行」電車ですが)。
4番線・5番線は上の写真のように静まり返っていて、電車は1本もやってきません。電光掲示板も表示が消えています。
4番線の山手線ホームはさらに静かで、電車も来ないので長く伸びる線路をずっと見つづけることができます。
あの山手線が全く走っていない東京駅というのはなんだか新鮮なものでした。
いつもとは異なる運行に戸惑っている人も大勢見られました。
特に、外国人観光客は、まず電車がやってくることはない山手線ホームに並んでいたりして、そもそも運休情報すらよく分かっていないようでした。無理もありませんが・・・
その分、駅員さんも大勢ホームや階段付近に出てきており、困っているお客さんの対応にあたっていました。こんなにいたのか!ってくらい、普段なかなか見られない人数の駅員さんがいて結構珍しい光景でしたよ。この日のために休日出勤して応援に来ている駅員さんもいたんでしょうか…?
線路切替工事中の上野駅の様子
続いて、上野駅での様子です。
上野駅では、京浜東北線の運休区間と併せて、上野東京ラインを使えば1本で先まで行けることを説明した看板が設置されていました。
たまにしか京浜東北線を利用しない人にとっては、これを見てもなんじゃこりゃって感じですよね。看板の近くに駅員さんもいるので、分からない人も聞けば教えてもらえるみたいでした。
この日は上野駅で山手線が折り返しているため、上野に到着する山手線の表示名はすべて「回送」になっていました。これも珍しいですね。
上野が終点となり、一旦引き上げ線へと電車が入った後に、再び「大崎行」の電車として上野へ戻ってくるので、間違えてお客さんが乗りこまないように、分かりやすく「回送」の表示があるんですね。
線路切替工事中の品川駅の様子
最後に品川駅を見てみます。
休日の土曜日であり、空の玄関口「羽田空港」からの乗り換え客もいて人はかなり多く、主要駅の中でも、封鎖されたホームを見て戸惑う人も圧倒的に多かったと思います。
品川駅では、乗客も駅員さんも桁違いに多く、そこまで混乱は生じていないものの、いつもと違う雰囲気に戸惑う人は多いようでした。
おわりに
16時には山手線で運行が再開され、18時には元のダイヤに戻る予定でしたが、18時を過ぎても運転間隔の調整は続いていました。
でも、終日運休にしなかっただけでもこれは大変なことです。JR東日本のみなさんお疲れさまでした。
今回の工事も含め、来年には新駅「高輪ゲートウェイ駅」が開業、その周辺の駅開発も進み、東京の街並みは今後も大きく変わっていくことでしょう。
その一端を垣間見ることのできた日となりましたね。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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