【簿記対策】121)「売掛金」と「買掛金」って何だろう?

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簿記

こんにちは、ホウボウです。

この記事からは、「売掛金」と「買掛金」について学んでいきましょう。

試験では3級から1級まで、実際の実務でもよく使われる、本当に基本的な勘定科目になりますので、しっかりとここでマスターしておきましょう!

各級での出題範囲(「売掛金と買掛金」分野)

まず最初に、「売掛金と買掛金」の分野において、各級で出題される範囲を確認しておきましょう。ボタンをタッチかクリックすると詳細が開きます。

売掛金・買掛金、売掛金元帳と買掛金元帳

(参考:商工会議所「商工会議所簿記検定試験出題区分表(2019年4月現在)」)

売掛金と買掛金」の分野は、3級以上から出題されます。

逆に言えば、簿記を勉強していくうえで本当に基礎的な分野だからこそ、3級でも出題されるということでもあります。

今回登場する勘定科目

今回登場する「売掛金と買掛金」分野で覚えるべき勘定科目は以下の通りです。

  • 売掛金:売買取引で商品を売ったときに、後で受け取る分の代金のこと。
  • 買掛金:売買取引で商品を買ったときに、後で支払う分の代金のこと。

非常にシンプルですね。さっそく見ていきましょう!

後で代金を受け取ります:「売掛金」

まずは、商品を売る側の「売掛金うりかけきん」から学んでいきましょう。

いきなりですが、具体的な仕訳例をご覧ください。

【例】フラミンゴ株式会社は、商品30,000円をうさぎ商店に売り上げ、代金は掛けとした。

(売掛金)30,000 |(売上)30,000

上の例のような場面で、「売掛金」という勘定科目が大活躍します。

注目するべきポイントは、「代金は掛け」という文言です。

「売掛金」という言葉にも入っていますが、「掛け」っていったい何なのでしょうか・・・?

「掛け(かけ)」とは

商品を販売した時点では現金など支払いのやり取りをせず後日精算するときまで待ってもらう(あるいは待つ)こと。

通常、私たちが例えばスーパーやコンビニなどで買い物をする場合、お弁当や缶コーヒーを手に入れるためには、レジで代金を「その場で」支払う必要があります。

「明日もこのコンビニに来るから、その時に支払うよ!」ということはできませんよね。

(レジの店員からすれば、「こいつ絶対明日来ないやろ・・・」ってなりますね笑)

しかし、会社間の取引の場合は、その場で支払っていると煩雑になるケースが多々あります。

例えば、ローソンやファミリーマートなど、街に複数の店舗があるコンビニチェーン店を考えてみましょう。

日々、飲料水やお弁当、おにぎり、お菓子など様々な商品が並んでいますよね。毎日いつ行っても商品が全くないということはありません。それは、コンビニの店舗がそれぞれ足りない商品を補充しているからですね。

ここで、いま「掛けのない世界」つまり「その場で代金を支払わなければならない世界」だとします。

それぞれの店舗は、毎日足りない商品をお菓子製造メーカーやおにぎり・お弁当を作っている工場などに注文をして、補充をします。

そして、注文した商品が店舗に届いたときに、その代金を毎回その場で支払うとします。

そうすると、毎日店舗は商品の補充に必要な現金を用意する必要があります。また、お金を受け取る側も、毎回請求書と領収書を準備して、その都度お金のやり取りをしていたら管理が大変ですよね。現金は持ち歩いているだけでリスクがあり、出来ればお金のやり取りは最小限にしたいはずです。

そこで、「お互いに毎日似たような商品を買ったり売ったりしているんだから、1か月に一度とか、3か月に一度とか、まとめて清算をすればお互いハッピーなのではないか??」という発想が生まれます。

そして生まれたのが「掛け」というビジネス用語です。

商品は毎日届けているので売り上げてはいるんだけど、代金は後で一括で支払ってもらうのが「掛け売り」です。この代金のことを「売掛金」と呼ぶのです。

なんとなくイメージが湧いてきたでしょうか。

そして、なぜ簿記の中で「売掛金」といったものが基本的な勘定科目なのかも分かってきたのではないでしょうか。


それでは、仕訳の例に戻ってみましょう。

売掛金」は、商品を売り上げたときに発生する「代金を後で受け取ることができる権利(売上債権)」ともいえます。

こういった会社にとって嬉しい権利は、「資産」の項目として扱います。

例では、商品30,000円を売り上げて、掛けとしているので、「売掛金」が30,000円分増えます。資産の上昇なので、借方にきます。

また、商品を受け渡して売り上げが発生した場合は、「売上」という勘定科目(「利益」の項目)を使って貸方に書きましょう。(少し難しいですが、この場合の売り上げの計上の仕方は「3分法」という仕訳方法になります。ここでは覚えなくても構いません)

後で代金を支払います:「買掛金」

「売掛金」が分かれば「買掛金かいかけきん」もそこまで難しくありません。

逆の立場を考えてみればいいわけですね。

具体的な仕訳例を見てみましょう。

【例】フラミンゴ株式会社は、商品30,000円をうさぎ商店から仕入れて、代金は掛けとした。

(仕入)30,000 |(買掛金)30,000

買掛金」は、「後で代金を支払う義務(支払債務)」が発生するので負債となります。

上の例では、商品30,000円を仕入れているので、借方に「仕入」を置き、「代金は掛け」としているのでここで負債が発生し、貸方に「買掛金」を置きます。

実際に売上代金を回収したとき(「売掛金」の精算)

ここまでは、商品売買があったときに「掛け」として、代金の精算を後回しにする場面を見てきました。

「掛け」にする場面があるということは、その「掛け」の代金を精算する場面があるということです。

「売掛金」のままではせっかく商品を売り上げたのに現金は1円も増えていないし、「買掛金」のままでは支払いがまだ残っているということで借金を背負っているようなものですからね。

ここからは、「売掛金」と「買掛金」の精算について見ていきましょう。

まずは「売掛金」(売上代金の回収)からです。

【例】フラミンゴ株式会社は、先日うさぎ商店へ商品を販売した分である売掛金30,000円を回収し、代金は普通預金に振り込まれた(ただし、振込手数料は先方負担である)。

(普通預金)30,000 |(売掛金)30,000

若干長ったらしい分かりにくい文章な印象がありますが、要は「売掛金30,000円を回収」して、代金は「普通預金で受け取った」ということです。振込手数料云々は先方負担(相手が負担する)ということなので、ここでは特に考える必要はありません。

借方貸方どちらから考えても全く問題ありませんので、考えやすい方から考えてみましょう。

一番簡単なのは、「普通預金」(資産)が明らかに増えたのですから、この「普通預金」をまず借方に置くことでしょうか。

そうすると、自然と貸方は「売掛金」を置けばよいわけですが、ちゃんと考えるならば、「売掛金」つまり「代金を後で受け取る権利(売上債権)」(資産)が30,000円分ここで失われるわけなので、資産を減らす「貸方」に「売掛金」を置けばよいという結論になります。

どちらから考えても結果は同じになります。

実際に代金の支払いをしたとき(「買掛金」の精算)

それでは同じ要領で、「買掛金」(代金の支払い)についても見ていきましょう。

【例】フラミンゴ株式会社は、先日うさぎ商店より仕入れた分である買掛金30,000円の代金を、現金で支払った。

(買掛金)30,000 |(現金)30,000

ここでも「売掛金」のときと同様に、どちらから考えても構いません。

買掛金30,000円」を「現金で支払った」とあるので、「買掛金」という負債が減って借方に「買掛金」、「現金」(資産)も減っているので貸方に「現金」を置けば良さそうですね。

まとめ

今回は、「売掛金」「買掛金」について見ていきました。

簿記の中でも、トップレベルで基本的な「勘定科目」なので、初学者であってもきちんと頭に入れておきましょう。日本におけるビジネスの基本でもあります。

売った時に掛けとしたら「売掛金」買った時に掛けにしたら「買掛金」

考え方はシンプルです。すんなりと理解できましたでしょうか?

代金を精算したときにも登場しますので忘れないようにしましょう。

次回は、「売掛金元帳」と「買掛金元帳」という帳簿への記入を学んでいきます。総合的な分野にもなりますので、こちらは一通りの勘定科目を学んだ後に勉強すると良いでしょう。

お疲れさまでした!また次回も頑張っていきましょう。

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