グーテンターク!どうもホウボウです。
年末年始で忙しいこの時期、一旦は忘れ去られたあの話題が驚くかたちで舞い戻ってきました。
そうです、日産自動車の元会長で保釈されていたカルロス・ゴーン被告がレバノンへ逃走したという事件です。
海外メディアも大みそかに入ってきた大ニュースということで報道しているようですので、その中でドイツ語の記事を一つご紹介します。
今回は「flüchten(逃げる)」という単語をキーワードに見ていきましょう。
今回の記事「カルロス・ゴーンが日本から逃亡」
まずは記事タイトルと冒頭の部分を見ていきましょう。
引用先の記事はこちらからご覧ください↓
https://www.dw.com/de/carlos-ghosn-flüchtet-aus-japan/a-51841666
Carlos Ghosn flüchtet aus Japan
Der frühere Automanager soll sich in Japan wegen Untreue und finanziellen Fehlverhaltens verantworten. Doch nun setzte sich Carlos Ghosn in den Libanon ab – offensichtlich gegen den Willen der japanischen Justizbehörden.
カルロス・ゴーンが日本から逃亡
(日産)自動車の前会長は、日本で特別背任と金融上の不法行為について責任を問われている。しかし今、カルロス・ゴーンはレバノンに降りた。日本の司法当局の意思に反することは明白である。
少し直訳気味ですが、読めないことはないと思います。
タイトルは「カルロス・ゴーンが日本から逃亡」というものです。
カルロス・ゴーン氏は、2018年11月19日に金融商品取引法違反の容疑で逮捕されました。もう1年以上前なんですね。
この逮捕のときも世界中が驚いたことと思いますが、この記事も匹敵するかそれ以上のショッキングなニュースだと思います。
というのも、「flücht(逃げる)」という単語が使われているからです。
キーワード「flücht(逃げる)」
ドイツでは、一時期ニュースの中で目にしないことはないくらい使われていた単語がありました。(今現在もそうかもしれません)
「Flüchtling(難民)」という単語です。
ドイツでは、メルケル首相が率先して中東やアフリカ地域からの難民を受け入れてきた事実があります。
その数はのべ100万人以上ともいわれ、日本の難民受け入れ人数は*3000人強(うち難民認定は750人)ですから、その規模の大きさがよく分かります。
この「Flüchtling(難民)」は、今回のカルロス・ゴーン氏の記事で使われた「flüchten(逃げる)」とよく似ているのに気づいたでしょうか?
「Flüchtling(難民)」は、「flüchten(逃げる)」という単語から来ているんですね。
この2つの単語は、どちらもニュースでよく見かける基本の単語なので、セットで覚えておくといいでしょう。
それにしても、逮捕劇が政治的迫害とも言われている、日本の司法当局から亡命したというイメージがグッと湧くメディアらしいタイトルです。
このタイトルを見ると、衝撃とともにどんな記事何だろうって興味が湧いてきます。
*出典:外務省ホームページ『国内における難民の受け入れ』(2019年)
特別背任と金融商品取引法違反
カルロス・ゴーン氏がどんな罪の容疑で逮捕された(責任を問われている)かも記事の中に書かれています。
「wegen Untreue und finanziellen Fehlverhaltens」という部分ですね。
Untreueというのは、「不誠実」「不貞」「浮気」「背任」などの意味を持っています。あまり見慣れない単語かもしれません。
ここでは、「特別背任罪」のことを指していると考えられます。
「特別背任罪」は、日産のような株式会社の場合、会社法の960条などで定められています。
取締役などの経営者が、任務に反した行為をして会社に損害を与えた場合に問われる罪です。
任務に反する(背を向ける)ということで、「背任」という意味のUntreueが用いられているわけですね。
また、finanziellen Fehlverhaltensは、なんとなく意味を予測できそうですが、直訳すると「金融上の悪事」ということになります。
ここは日本の法律に照らし合わせて、「金融商品取引法違反」と訳すのがベストでしょう。直訳のようにぼかしていたとしても、読み替えて理解するといいと思います。
この特別背任罪と金融商品取引法違反の2つが、カルロス・ゴーンの逮捕・起訴理由になっていることが、記事の中で示されています。
レバノンにいる衝撃を表した「Doch」
また、次の文章の冒頭を見てみると、「Doch」という単語から始まっています。
この「Doch」という単語は、話し手や書き手の心境を表す心態詞に分類されるもので、訳の中にニュアンスを落とし込むのが非常に難しく、やっかいな単語でもあります。
しかしここでは、かなり効果的に記事の中で使われているので解説してみたいと思います。
「Doch」は、訳すと「しかし」「やっぱり」というように、何かを否定するニュアンスで登場します。
この記事では、まず記者の気持ちになりましょう。
カルロス・ゴーン氏は1文目にある通り、日本で保釈されているとはいえ、犯罪の容疑をかけられており、出国を認められていない状況にあります。
そのゴーン氏がレバノンにいると知ったらどうなるでしょう。
「そんなはずはない!」「日本で起訴されているはずだ!」ってなりますよね笑。
でも実際に確認してみると、確かにレバノンに降り立っているのです。
そんなはずはない!と一度は否定しそうになった事柄を、もう一度否定するのがこの「Doch」に込められたニュアンスです。
だから、シンプルに言うと「しかし」、もっとニュアンスを込めると「やっぱり」という日本語訳になるわけです。
ただ、この記事では、文の1単語目から出てくるので強調具合いがすさまじく、「カルロス・ゴーンがレバノンにいるなんて!」という記者の衝撃(あるいはそう見せたい思惑)を強く感じる良い例ですね。
おわりに
いかがだったでしょうか。
衝撃的なニュースだったので、その衝撃が伝わる記事をピックアップしてみました。
「flüchten(逃げる)」という単語は、亡命や難民問題、犯人の逃走劇などニュースでよく使われますので、しっかり頭に入れておくと良いでしょう。
併せて「Flüchtling(難民)」も覚えておくと完璧です。
それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Tschüss!(またね!)
☆参考書籍:清野智昭『中級ドイツ語のしくみ』(2008)
コメント
[…] 【今日のドイツ語記事】カルロス・ゴーンがレバノンへ逃走!?ーーー「f… ドイツ語 ドイツ語 東京オリンピック 記事 スポンサーリンク (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); シェアする Twitter Facebook はてブ Pocket LINE コピー ホウボウをフォローする スポンサーリンク (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); ホウボウ ホウボウの雑記ブログ […]